未経験の問題

 未経験は問題です。自分を振り返ると、未経験のまま就職し、未経験のまま結婚し、未経験のまま転職し、そのために、様々な失敗を繰り返してきました。同様の例が多いためか、世間では、準備の必要性が叫ばれています。
 大学においては、就業経験のない学生の就業準備のため、かつてはなかった、「キャリア科目」が設定されるようになりました。企業でも、疑似就業経験の場として「インターンシップ」を学生に提供するところが増えています。ところが、このような取り組みは必ずしも学生に評価されていません。
 学生に聞くと、「まだどんな業界で働きたいかも決まっていないのに、キャリア教育で業界研究や企業研究をしてもピンとこない」、「インターンシップに行く準備ができていない」などの事情があるようです。そうであれば、「キャリア科目を受講するための準備講座」、「インターンシップをめざすための準備講座」を設定する必要があるかもしれません。問題は、そのような科目を設定すると、さらに「当該科目を受講する準備ができていない」という声がおこりそうなことです。
 ひょっとすると、準備をすれば未経験の問題が解決するだろうという思考方法そのものに問題があるのかもしれません。