夢の経営学部

 

 組織は、すべからく、社会の要請・要望に応えるべく、変化していかなければなりません。当たり前のことです。さもないと、厳しい競争が繰り広げられているなか、組織が生き残り、発展することは難しい。

しかも、経営学部に対する社会の要望・要請は多様です。

 ちょっと考えただけでも、例えば、①国連からは、SDGsに対応して欲しい、②政府からは、役立つ研究成果をあげて欲しい、また、教員はボーッとしている時間を減らし研究にいそしんで欲しい、③経済界からは、すぐに企業で活躍できるグローバル人材を輩出してほしい、また、DXに対応できる教育をしてほしい④学生からは、できるだけ楽しく勉強して大卒資格がとれるようにして欲しい、などが思いつきます。

 これらに対応するには、例えば、①SDGs対応委員会を組織し、その組織規定を制定する、②成果主義の人事管理を導入する、③グローバル人材育成委員会とDX対応委員会を組織し、その組織規定を制定する、④学生に知的負荷をかけない授業をし、グループワークなどの作業で達成感を与える、などが考えられます。また、達成計画を作成して、そのPDCAサイクルを回していくことも重要です。

 しかし、こうした対応策に優先順位をつけるのは難しいし、実は、問題意識そのものが間違っている可能性もあります。というのも、社会の要請・要望そのものが、移ろいやすく、それらに引きずられていると、ただただ忙しく、自分自身の姿を見失う恐れが多いからです。

 古代ギリシャ語の暇=スコレーがその後、英語で学問を意味する言葉に変化していったことからもわかるとおり、学問するには、暇が重要です。ボーッとしながら、あれこれ思いついたことを教えたい人間が教師になり、学生もそれを教わりたい。そうした気持ちの交錯のなかから、活発な議論と新しい考え方がうまれてくる、これが理想のような気がしてなりません。

 夢の経営学部を作るには、まず、みんなが暇でゆったりとした気分になることが大事です。変化の激しい時代だからこそ、現実から少し距離を置いて、その本質をとらえる、そんな営みのできる学部を目指したいと考えますが、どうでしょう。